振る舞いとは

 

 

本当に申し訳ないのですが、このブログ下ネタが多い。なんかそのつもりはないんですけど、今回もほんとすいません。

 

 

 

 

 

 

3年ほど前。前職を半ば険悪ムード退職したのち、転職するまでの間を大学生時代のバイト先にお世話になった。当時の一個下の後輩が店長をやっているフランチャイズのお店で、少し歳の離れたワタクシをアルバイトの子たちは暖かく迎え入れてくれた。

 

高校の卒業を控えたJKの残党、昔から知ってるメンバー、出身大学の後輩など、様々な人が集まる中にヤツはいた。

 

 

 

彼は「エイシ」と呼ばれていた。

 

エイシは同じ大学出身であるものの、初対面だった。しかし共通の知り合いがいたり、趣味が合ったりと、すぐ打ち解けた。

彼を一言で表すなら狂犬だろう。

酒を飲んだ日は、インスタストーリーは混沌そのものだ。周りの全ての生物と明日の自分に迷惑を振り撒くバイオテロリストと化す。

しかしながら「おふざけ」にはキラリと光るセンスを感じ、彼の周りから人が離れない、むしろ増え続ける所以はそこなんだろうなと思う。

 

そこらじゅうに火を着けてまわる放火魔みたいな彼だが、消防士を目指していた。が、残念なことに試験では落ちてしまった。採用担当は全く無能だ。コイツを放置したら、仕事が増える

 

翌年、エイシは警察官になった。神はどこまで残酷なのだろう、こんなやつに逮捕されたら恥ずかしくて刑務所から出れない。シャバが一瞬でアナザースカイと変わる

 

 

 

「エイシが警察!?どっちかというとお世話になる方だろw」

こんなセリフをきっと友達や先輩、家族にでさえ言われているだろう。知らんけど

 

 

 

しかしひたむきに勉強する彼を見ているし、留学の貯金とか、自分で決めたことをやり切るスゴイとこは知ってる。そういうとこが試験で認められた、なるべくして警察になったと思う。尊敬している。

 

 

「りおさんが生徒に手出して捕まったら、見逃してあげますよ」

エイシは得意げに言ってくれた。ありがとう。

 

 

 

そんなエイシとサシ飲みをすることとなった。

ていうか、一緒におっパブに行こうという話になった。そこそこ詳しい彼によると、千葉のRioというお店が良いらしい。ちょうど名前も被ってるし、行くか

 

駅周りの磯丸で昼間軽く飲んでから行きましょうということで、そそくさとハッピアワーで乾杯した。

 

良い気分だった。昼間から飲むのってなんでこう気持ちがいいのだろうな、平日なら尚更酒が美味い。

 

酒も進んで盛り上がってきたところで、ふと疑問が浮かんだ。

 

 

 

 

「てか、おっパブって結局なんなん?」

 

 

 

話には聞くものの、何をどうするのか、何がどうされてどんなイイコトがあるのかよくわかっていなかった。色々な種類のそーいうお店があるのは知っている、なんならピンサロくらいは経験がある。

 

でもおっパブだけは機会がなかった。

名前から想像するに、おっぱいが関連しているサービスであるということは明確だろう。

正直もうそれがわかれば良いと思ってよく理解してなかったけど、結局なんなんですか?

 

おっパブの「お」は多分おっぱいの「お」だが、「パ」がやや理解を妨げている。おっぱいの「ぱ」ならカタカナにする意図が不明なので、おそらく「パブ」というひとまとまりの単語と推定できる。つまり、おっぱいのパブ?あのPub??

 

 

 

よくわからないが、おっぱいの何かなのだろう。

きっとおっぱいをどうにかしながら酒を飲む感じのヤツだろう。

 

 

 

私にとっておっパブというのは、あくまで抽象的な概念だったのだ

「おっパイ的である」「おっパイ性が高い」「おっパイ味溢れる」というのが具体的にどのような状況を指すのか。それは全くイメージが出来ていなかった。

 

 

磯丸でひとしきり飲んだ後に、今日こそは本当におっパブに行ってやると盛り上がり、栄町をグルグル回った。お酒が判断を鈍らせるのではない。男性ホルモンが脳にエンドルフィンを分泌しているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、どれだけ歩いてもお店が見当たらない。エイシはあれ?あれれ?と慌てふためいている。まあ落ち着けよ。先輩といえど、そんなお店が見つからず段取りが悪いなんてことで噛みつきやしないさ。

 

google mapでは完全に現在地を指していた。ここに店があるはずだし、雰囲気もそんな感じだ。

 

目当ての店が見つからず、ウロウロし過ぎて、同じキャッチのニイチャンに何度も声かけられた。もう気まずくて我々は意を決してキャッチの兄ちゃんに声をかけた。

 

 

「すみません。Rioっていうおっパブに行きたいんですが。」

 

 

 

 

 

「ああ〜そこはもうなくなっちゃったよ。

どう、お兄さん、ウチ、5000円ポッキリ。」

 

 

なんか、経験上キャッチからの入店に良い思い出はない。若干の拒否を見せる私を横目にエイシはニイチャンと話を進めた。

 

 

 

「おっぱいは触れますか?」「はい」

「分かりました」

 

 

 

こんなやりとりが5秒もないうちになされ、私は名も知らぬお店に誘導され、入店した。コイツら業者か。

 

 

怪しげなコの字型の客席に通され、怪しげなメニューを一読する。

とりあえずビールを頼んでソワつきながら待っていると、嬢が私たちの間にちょこんと座った。

 

 

昼下がりということもあって、まだ出勤してない嬢が多く、少しの間2対1になるという。

なるほどね、これがおっパブか。やはりおっぱい性の高い酒絡みのサービス。ビンゴ!

おれの予想は大体合っていた。

 

 

少し酒を含み、嬢と話そうとすると、向こうから話しかけてくれた。

嬢は話しやすく、聞き上手な上に、引き出し上手だった。容姿がどうとか、オッパイがどうというより、純粋に女の子との会話を楽しんだ。

 

 

 

我々の関係や仕事、年齢から出身まで発表しひとしきり話したとこで、気がついた。

 

 

 

 

「この10分くらい、おっぱい、触ってなくない?」

 

 

この事実を私を含め、エイシ、間にいる嬢でさえも気がついてると感じた。

 

あれ、ここって薄暗い部屋でただ女の子と飲む場所じゃないよね??

このままではマズイ。我々は互いにそう感じていた。この嬢の話し上手のペースに乗せられ、おれらは薄暗い部屋でただ頷きながら酒を飲むだけなのか。時間は非情にも歩みを止めない。焦りの表情は隠しきれなかった。

 

勇気を出していくにしても、どう出ればいいのか、会話の途中でいきなり「へ〜そうなんだ〜」といいながら触るか、、?それとも、そろそろ失礼します。と一礼入れて堂々と行くか、、?

いや、どちらも不自然だ、、。

触るタイミングが今だと、慣れてないみたいでカッコ悪いんじゃないのか、、?

 

そもそも、おっパブでオッパイ触らないと、カッコイイのか?いきなりオッパイ触って来るやつと触ってこない奴だったら、触ってこない奴のが良いに決まってる

 

でも本当に、おれたちのこの「俺はいきなりオッパイを触ったりしねえ」っていうスタンスは、おっパブにおいてカッコイイ振る舞いなのか?

 

 

 

というか、おっパブに来て、おっぱい触らずひたむきに酒飲んでる今の状況のが不自然じゃないのか?

おれが嬢だったらちょっと恐ろしいくらいだよ。

なんでコイツら高い金払って何にもしてこないの?そう思われてるのでは?短い時間であれこれ思考が巡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、最初に殻を破ったのは我々でなく、嬢だった。

 

 

 

 

「てゆうか、触らなくて大丈夫ですか?」

 

 

 

2人同時に同じ質問が投げかけられ、我々は面食らった。全く上手い返しが見つからない。

 

おそらく、エイシはもっと複雑な状況だっただろう。私が先輩であるが故に、後輩の自分が先にオッパイにありついていいのだろうか、そんな心配をしていただろう。なんかごめん、全然触ってくれよ。

 

 

この質問に対して、こういう店に知識があるエイシが答えた。

「サービスタイム的なやつあるんですか?」

 

私も聞いた話だが、全面的に「触る為」だけの時間が存在し、それをサービスタイムと呼ぶそうだ。

 

 

「いや、ウチはそういうのなくっていつでも触っていいの!おっパブというよりセクキャバだから!」

嬢はすぐさま答えた。

 

 

 

 


私はこれを聞き、「なるほど」という顔をしたのだ。必要以上に眉間にシワを寄せて、深く頷いてみせた。そうかセクキャバだったのか。ふむふむ。なるほどね。だからか。そんな顔をした

 

無論、「セクキャバ」がどういう店なのか、全く理解していなかった。何ならおっパブよりも分からない単語だった。

 

 

「おっパブというよりセクキャバ」

 

この粗略な陳述により、ワタクシのおっパブはさらに迷宮の深淵部へと歩みを進めた。もうワケが分からない。サービスタイム?がなんだって?おっパブじゃなくて、セクキャバ、、?

 

見たことも聞いたこともないポケモンの説明をされているようだった。

 

 

つまり、明確な触っていい時間というのは存在せず、いつ、どのタイミングでもバトル仕掛けていいよってこと。それがこの店らしい。

 

いつ触ろうか、そんな悩みを抱えている我々に対して、「いつでもどうぞ」はちょっと男前すぎやしませんか?逆にいつでも行けないんですけど。

だったら、やっぱり触っていい時間、触るべきタイミングが欲しい。もう誰かヨーイ、ドンとか言ってくれよ。

 

どうにかしてオッパイを触り始めないといけない。しかしオッパイを触ろうにもどのようなロジックで触れば良いのか。ロジック。ロジックが見当たらない

 

 

 

そんなことを悩んでいるうちに、嬢は後輩であるエイシに気を利かせ、ハイどうぞと我々両方に乳を差し出した。

 

「2つあるし笑」

 

この嬢、、、天才か、この詰まった状況を一撃で打開した。

 

「オオ!この為におっぱいは2つついてるのか!!」エイシはふざけて高らかに笑った。

私も面白くてゲラゲラ笑った。

嬢も笑っていた。この店入ってからこの瞬間が1番盛り上がったと思う

 

 

 

 

しかし、誰もおっぱいは触らなかった。

 

 

 

いや、もういいから触れよエイシ。

エイシも私に対して同じことを思っただろう。

読み合いが始まっていた。

二人の間には無限のやりとりがあるようだった。居合いの達人2人が、剣を抜くことなく間合いだけで凌ぎを削っている。そんな感じだった

後ほど「剣豪」というあだ名でお店の子の間でネタにされるだろう。

 

 

 

3杯目を注文しようとした時、ようやく嬢が1人追加された。かなりスレンダーで可愛い感じの子だった。

 

彼女はエイシの隣に誘導され、必然的にエイシと新しいかわい子ちゃん、私とオモロ女の構図となった。

 

そこから結構飲んで、記憶が曖昧だが、私がトイレ行って帰ってきたらエイシも酔っ払ってニャンニャンしてたことは覚えてる。楽しかった。

 

 

その日の帰りは、十分に堪能できなかった悔しさとなんだかんだ楽しかった気持ちが入り混じって、妙な気分だった。

 

 

 

オモロ女がどんな女の子だったかあんまり覚えてないけど、多分メチャクチャ良い奴なんだろうな。だから触れなかったのかも、今はそう思います。

 

 

 

磯島